2013 年 46 巻 1 号 p. 41-49
症例は64歳の男性で,全身倦怠感を主訴に近医で精査され,高度の炎症反応上昇と肝左葉の腫瘤性病変から肝膿瘍を疑われ加療されていたが改善しないため,当院紹介となった.CTにて肝左葉に長径13 cmの腫瘍を認め,中心部は壊死傾向が強く,血管を巻き込むように進展しており肝内胆管癌と診断された.拡大肝左葉切除術を施行したが,血性腹水を認め,腫瘍破裂の状態であった.術後,全身状態の改善が乏しく創部より血性の浸出が続いており,術後14病日に施行したCTで腹膜播種性転移,多発肝内転移,大臀筋内の遠隔転移を認めた.腫瘍からの出血のため術後19病日に死亡した.術前より白血球数が著しい高値を示しており,血清G-CSF濃度が高値であること,腫瘍細胞が抗G-CSF抗体を用いた免疫組織化学染色検査で陽性を示したことより,G-CSF産生腫瘍と診断した.G-CSF産生肝内胆管癌の報告は7例と極めてまれであった.