日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
非神経線維腫症の患者にみられた骨盤内悪性末梢神経鞘腫の1例
尾原 伸作内本 和晃小山 文一中川 正中村 信治植田 剛錦織 直人藤井 久男堤 雅弘中島 祥介
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2014 年 47 巻 2 号 p. 156-162

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抄録

 非神経線維腫症I型の患者において,骨盤神経叢由来と考えられた悪性末梢神経鞘腫(malignant peripheral nerve sheath tumor;以下,MPNSTと略記)の1例を経験したので報告する.MPNSTの好発部位は四肢近位部,体幹,頸部とされている.また,MPNSTの約半数は神経線維腫症I型に合併するといわれる.症例は58歳の女性で,当院初診5か月前より肛門痛,左下肢の疼痛が出現した.各種画像検査の結果,骨盤内の直腸左壁に約10 cm大の腫瘍を認めた.骨盤内原発の神経原性腫瘍を疑い,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は骨盤底の後腹膜腔で直腸左側にあり,左骨盤神経叢と固着していた.病理組織学的検査所見では,紡錐形の腫瘍細胞の束状増殖があり,多核な腫瘍細胞もみられた.各種免疫組織染色検査でneurofilamentのみ陽性であった.核分裂像が400倍で1視野当たり7 cells認められ,左骨盤神経叢由来のMPNSTと診断した.術後約6年3か月経過した現在も無再発生存中である.

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