日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
宿便による広範囲壊死型閉塞性大腸炎の1救命例
香川 哲也小林 達則上山 聰岡林 弘樹末光 一三荻野 哲也
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キーワード: 閉塞性大腸炎, 便秘, 下剤
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2015 年 48 巻 4 号 p. 365-373

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抄録

 症例は63歳の女性で,来院2時間前に軽度の間歇的腹痛を自覚した.同日排便がなかったことから便秘と判断し,浣腸薬を使用したところ,症状が増悪したため当院救急外来を受診した.理学的所見は乏しかったが,経過観察目的で同日入院した.発症9時間後,腹痛が増悪して持続痛となり,11時間後には意識レベルの低下と頻脈,頻呼吸が出現した.腹部単純造影CTにて,腸管気腫および門脈ガス血症を伴う,全結腸の高度拡張を認めた.S状結腸には4 cm大の便塊が認められ,宿便による閉塞性大腸炎,敗血症性ショックの診断にて緊急手術を行った.便塊による閉塞部から近位側の全結腸が壊死に陥っていたため,結腸亜全摘術および回腸人工肛門造設術を施行した.昇圧剤持続投与,エンドトキシン吸着療法などの集学的治療により救命しえた.宿便による閉塞性大腸炎の本邦報告例は,自験例を含めて13例のみと極めてまれであるため報告する.

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