日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
肝原発悪性線維性組織球腫の術後再々発に対し手術を試み5年生存をえた1例
石原 陽介高橋 滋奥川 郁中野 且敬秋岡 清一大坂 芳夫土屋 邦之迫 裕孝
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2015 年 48 巻 7 号 p. 572-581

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抄録

 患者は26歳の男性で,右季肋部痛を主訴に受診した.腹部超音波検査およびCTで肝右葉に80 mm大の内部不均一腫瘤を認め近医より紹介された.その後,当院受診時のCTで100 mm大の低吸収域,MRIで腫瘍実質はT1 low,T2 highを呈し,T1,T2ともにhighの領域を腫瘍内部に認め出血が疑われた.選択的血管造影ではhypovascularであった.悪性腫瘍を疑い右肝切除術を施行した.病理組織学的検査所見より悪性線維性組織球腫と診断された.8か月後,CTにて右横隔膜に同様の腫瘍を認め開胸下に腫瘍を切除した.さらに6か月後,肝S4に再発性単発腫瘤を認め,肝部分切除術を施行した.初回切除後より5年経過するが現在無再発にて生存中である.肝原発悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma;MFH)は我々が検索しえたかぎりでは本例を含めて56例にすぎず,再発症例に対し手術を選択しえた症例は非常にまれなのでこれを報告する.

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