日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
通常型膵癌術後に発症した残膵癌の4切除例
岩田 至紀夏目 誠治千田 嘉毅伊藤 誠二小森 康司安部 哲也清水 泰博
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2016 年 49 巻 2 号 p. 122-130

詳細
抄録

 通常型膵癌術後に発症した残膵癌の4切除例を報告する.膵癌取扱い規約第6版に基づく初回病変の組織学的深達度はT3が3例,T4が1例で,リンパ節転移は2例に認めた.病期はIIIが2例,IVaが2例であった.初回手術から残膵病変出現までの期間はそれぞれ2年,2年5か月,4年6か月,8年4か月であった.術式は,膵体尾部切除後の残膵全摘が2例,膵頭十二指腸切除後の残膵全摘と膵尾部切除(膵体部温存)がそれぞれ1例であった.1例は残膵に2病変を認めた.残膵病変の発生要因は,新規病変(異時性膵癌)と初回病変の再発(断端再発,残膵再発)の鑑別が重要と考えた.3例に遺伝子検査を行い,その変異形式から残膵再発と診断した.遺伝子検査が得られなかった1例は,残膵病変切除までの期間が8年4か月と長期間であり,組織型も異なっていたので異時性膵癌と診断した.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top