抄録
患者は71歳の女性で,他科疾患精査中の全身PETで十二指腸球部に著明なFDGの集積を指摘された.上部消化管内視鏡検査を施行したところ,十二指腸球部内腔を占める巨大なポリープ状病変を認め生検でBrunner腺腫と診断された.画像上50 mmを超える腫瘍で茎部は短く,壁付着部を確認することはできなかった.腫瘍径が大きく出血・通過障害の原因となる可能性や悪性腫瘍の合併を考慮し,外科的切除の方針となり腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した.病理組織学的に腫瘍は大部分がBrunner腺腫であったが,ごく一部に腺癌の所見が認められた.50 mmを超える巨大なポリープ状Brunner腺腫瘍の本邦報告は自験例を含めて全11例であるが,一部に腺癌を認めたのは自験例が初めてであった.腹腔鏡用エコーを利用することで断端を評価し安全に切除することが可能であったため報告する.