最近の世界情勢は必ずしも安定しているとはいえない.つい最近もベルギーでの多発テロ事件が発生している.宗教問題に疎い我々にとっては理解しがたい事件である.我々医師は,予後が限られている患者さんであっても,QOLを維持しつつ少しでも長期生存ができるようにあらゆる治療を行っている.自爆テロなど,まったく理解に苦しむ行動である.
また,アジアに目を向けてみよう,北朝鮮は懲りずに,ミサイルを発射し続けている.テレビで見る光景をこっけいに思うのは私だけだろうか.
さて月日が経つのは早いもので,今年も3か月が過ぎようとしている.今回の構成は肝胆膵領域7編,上部消化管領域1編,下部消化管領域4編,多領域にわたる論文1編の合計13編の構成になっている.いずれの論文も厳しい編集委員会の査読をクリアした,貴重な原著と症例報告であるので,ぜひご一読していただきたい.下部消化管領域を専門とする私としては,東北大学から投稿されている,下腸間膜静脈周囲リンパ節,献体10例における肉眼的,顕微鏡的検索という論文は大変興味深く拝読させていただいた.
編集員会に参加させていただくようになって,2年半が経過している.その間多くの論文の査読をさせていただいたが,不採用となった論文の理由を見てみると,多くは,「希少性なし」と「新知見なし」のいずれかである.日本消化器外科学会雑誌は,ほかの外科系学会雑誌に比べるとやはりハードルは高いと思われる.本邦報告例が50例を超えるような症例報告は,希少性という点から採用が難しいのが現状である.また,考察が,すでに投稿されている論文の構成と非常によく似た論文が散見される.当然このような論文も採用は困難である.上級医と十分にdiscussionし,熱意のこもった論文を多く投稿していただきたい.
(池内 浩基)
2016年4月1日
