日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
臓器と瘻孔のある創感染に対し局所陰圧閉鎖療法が有効であった3例
松本 正成安冨 淳草塩 公彦笠川 隆玄鈴木 大飯田 文子伊良部 真一郎竹林 三喜子宇田川 郁夫
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2016 年 49 巻 5 号 p. 455-463

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抄録

 今回,我々は臓器と交通のある創感染に対し局所陰圧閉鎖療法を行うことで治癒しえた3例を経験した.症例1は77歳の男性で,残胃癌にて残胃全摘・横行結腸合併切除術後の結腸縫合不全に伴う創感染,症例2は80歳の男性で,膵癌術後の挙上空腸からの腸液漏出に伴う創感染,症例3は70歳の男性で,直腸癌・肝転移術後の胆汁瘻に伴う創感染を認めた.適宜ドレナージや腸管保護を行いながら局所陰圧閉鎖療法によるドレーンの持続吸引を行うことで創傷治癒が得られた.臓器と交通のある創感染では局所陰圧閉鎖療法は本来禁忌とされている.しかし,適切なドレナージと保護を行うことで,局所陰圧閉鎖療法には漏出する腸液・消化液を持続して吸引することができかつ創を密閉閉鎖・管理できる利点があると考えられた.

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