日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
胆囊癌との鑑別を要する胆囊内隆起性病変を形成したコレステロール塞栓症の1例
大槻 雄士今 裕史武田 圭佐小池 雅彦赤坂 嘉宣
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2016 年 49 巻 6 号 p. 496-503

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抄録
 症例は82歳の男性で,高血圧,狭心症,閉塞性動脈硬化症,腹部大動脈瘤,肺癌術後のため通院中であった.スクリーニングで施行した腹部超音波検査で胆囊壁に隆起性病変を認めた.超音波内視鏡検査では筋層を越える浸潤はないと考えられたが,悪性を否定できず,開腹全層胆囊摘出術を施行した.切除標本では体部に25×15 mm大の黒色の隆起性病変を認め,病理組織標本では,病変は虚血,炎症に伴う肉芽種形成が主体であり,周辺の小動脈に針状の空隙を認めコレステロール塞栓症(cholesterol crystal embolization;以下,CCEと略記)に伴い隆起性病変が形成されたと考えられた.PubMedで検索するかぎりCCEによる胆囊の隆起性病変の報告例はなく,極めてまれな症例と考えられた.
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