日本消化器外科学会雑誌
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編集後記
編集後記
福島 亮治
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2016 年 49 巻 9 号 p. en9-

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2013年9月に編集委員を拝命し,丸3年が経過しました.本編集委員の任期は6年ということなので,丁度半分経過したことになります.通常,雑誌の投稿論文の査読は文書でやりとりされますが,本学会誌ではそれに加えて,毎月開催される編集委員会で,すべての投稿論文の査読結果について詳細な討議を行い,採用,再投稿,不採用などを決定しています.これこそ日本一の和文雑誌を目指している本学会雑誌の特徴で,多くの専門家の意見が反映されることで,論文の質向上に大きく貢献していると思われます.私が編集委員を拝命した当時は,一月に一回,学会事務局に全国の委員が集まって討議をしていましたが,今ではWeb会議の形式に変わっています.自室や外出先でも会議に参加できるので,費用の面でも時間の面でも非常に効率的になりました.ただ年1回,夏には実際に編集委員が集まる会議も設けられています.つい先日この会議が開催されましたが,たまには他の委員と膝をつき合わせて直接議論することも重要であり,その貴重な機会であったと再認識をした次第です.

今年はオリンピックイヤーで,リオデジャネイロオリンピックの熱戦が繰り広げられました.各々の選手が4年間の厳しい鍛錬を経た集大成として本選に臨み,自分のもつ最高の技で金メダルを目指す姿には,いつも感動させられます.本大会では男子体操や女子レスリングの金メダルに代表されるように,日本勢が最後に逆転して勝利を収めるシーンも多くみられました.最後まで諦めない姿勢の重要性を改めて認識するとともに,本番に弱い日本人という印象が払拭されてきたと感じていますが,これらはやはり蓄積された練習の成果というべきものだろうと思います.

医学の研究や論文執筆においても,オリンピックと通じるところは大いにあります.日々の努力と熱意は,投稿された論文を読めばおのずと伝わってくるもので,逆に手抜きはすぐに透けて見えてしまいます.厳しい査読意見に対しても,真摯に努力回答する姿勢は必ずや査読者の心に響くものになるはずです.そしてこのような論文が採択されたときの喜びはまたひとしおでしょう.また,たとえ論文が採択されなかった場合でも,科学的な思考や論文の書き方を習得するうえで,本人の大きな財産になることは間違いありません.論文を書くということは,実に多くのことを学ばせてくれます.今後,日本消化器外科学会の英文誌創刊も予定されていますが,本和文誌とのすみ分けはなされていくものと思われます.多くの特に若い消化器外科医が,本学会誌への投稿を通して精進されることを期待しています.

 

(福島 亮治)

2016年9月1日

 

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