2017 年 50 巻 1 号 p. 26-32
症例は73歳の男性で,腹部超音波検査で胆囊腫大を指摘され,腹部造影CTおよびMRIにて肝門部領域胆管に全周性壁肥厚と造影効果を伴った腫瘤を認めた.肝門部領域胆管癌の診断にて肝左葉尾状葉切除,亜全胃温存膵頭十二指腸切除,門脈切除再建術を施行した.病理組織学的には腫瘍の角化傾向がみられ,免疫染色検査で扁平上皮のマーカーであるCK5/6,p63が腫瘍全体に発現しており,扁平上皮癌と診断した.腫瘍に腺癌の成分は確認されなかった.術後3年9か月経過した現在,無再発で外来通院中である.肝門部領域胆管扁平上皮癌の術後長期生存の報告はまれである.