2017 年 50 巻 1 号 p. 43-51
症例は黄疸の精査目的に来院した71歳の女性で,遠位胆管癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査では,異型腺管構造を呈する低分化腺癌の成分に加え,N/C比の高い腫瘍細胞が混在しており,後者は免疫染色検査の結果,neuroendocrine carcinoma(以下,NECと略記)と診断された.各々の成分が30%以上を占めており,最終的にmixed adenoendocrine carcinoma(以下,MANECと略記)と診断された.術後はCPT-11/CDDPを用いた化学療法を施行し,術後13か月生存中である.胆管原発MANECはまれな疾患であり,治療に関してコンセンサスは得られていない.過去の報告例から胆管原発MANECの悪性度はNECに規定されると推察され,完全切除が得られた場合でも術後にNECに準じた化学療法の導入が有用と思われた.