日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
術後32日目に多発肝転移と腹膜播種を来した紡錘細胞型退形成膵管癌の1例
今岡 拓郎金岡 祐次前田 敦行高山 祐一深見 保之高橋 崇真尾上 俊介宇治 誠人森 治樹
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2017 年 50 巻 12 号 p. 965-971

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抄録

症例は60歳の男性で,心窩部痛を主訴に救急外来を受診し,腹部造影CTで膵頭部に20 mm大の乏血性腫瘤を認めた.内視鏡的逆行性胆膵管造影で,膵頭部膵管軽度狭窄に伴う尾側膵管の軽度拡張を認め,PET-CTで膵頭部腫瘤に限局性集積を認めた.超音波内視鏡下の穿刺吸引細胞診でadenocarcinomaを認め,膵癌の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査は腺管形成が乏しく,核の大小不同・核縁不整な紡錘形の腫瘍細胞が増殖を示し,退形成性膵管癌(紡錘細胞型)と診断した.術後22日目に退院したが,術後32日目に腹痛で当院受診し,腹部造影CTで多発肝転移,腹膜播種再発を認めた.原病増悪により術後43日目に死亡した.退形成性膵管癌は膵管癌の中ではまれな組織型であり,浸潤性膵管癌の中でも予後不良とされる.退形成性膵管癌の中でも紡錘細胞型はまれであり,ここに症例を報告する.

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