日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
肝門部胆管癌と鑑別困難であった肝門部胆管顆粒細胞腫の1例
林 英司岡田 禎人高橋 洋平島田 聡子
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キーワード: 顆粒細胞腫, 胆管, 胆道
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2017 年 50 巻 5 号 p. 386-392

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抄録

 胆道原発顆粒細胞腫は極めてまれである.今回,我々は肝門部胆管癌と術前に鑑別困難であった肝門部胆管顆粒細胞腫の1例を経験したので報告する.症例は38歳の女性で,健診の腹部超音波検査で左肝内胆管拡張を指摘され当院へ精査目的で紹介された.腹部造影CTで肝左葉の著明な胆管拡張と左肝管に腫瘤像を認めた.ERCPで左肝管に結節型の著明な狭窄を認め,この上流側の著明な胆管拡張を認めた.生検で異型円柱上皮細胞を認め良悪性の判断はしえなかったが,肝門部胆管癌の術前診断で尾状葉合併左肝切除兼肝外胆管切除・胆道再建を行った.術後の病理組織学的検査で肝門部胆管顆粒細胞腫と診断された.術後経過は良好であり,術後1年半の現在までに再発を認めていない.我々が文献検索したかぎりでは,胆道原発顆粒細胞腫の本邦報告例は本症例を含めて7例であり,肝門部胆管顆粒細胞腫の報告は本邦初である.

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