日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
術後6年以上無再発生存中の横行結腸・上腸間膜静脈浸潤を伴う膵頭部腺扁平上皮癌の1例
中橋 剛一山口 竜三渡邊 真哉會津 恵司三輪 知弘有元 淳記山中 美歩三竹 泰弘立山 尚
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2017 年 50 巻 7 号 p. 563-570

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抄録

 膵腺扁平上皮癌は登録膵癌の約1%にすぎない比較的まれな組織型である.さらに,予後が不良のため,術後無再発での5年生存例の報告は極めて少ない.報告例は膵頭部に発生し,十二指腸,胆管,横行結腸,上腸間膜静脈へ直接浸潤していた.亜全胃温存膵頭十二指腸切除,横行結腸切除,上腸間膜静脈切除再建によりR0切除を得た.腫瘍径は45 mm,リンパ節転移は胆管リンパ節(12b),膵頭部前リンパ節(17)に認めた.第7版膵癌取扱い規約に準じればT3N1aM0 Stage IIbであった.術後6か月間S-1を内服した.術後6年1か月経過するが無再発生存中である.このように複数の周辺臓器に直接浸潤とリンパ節転移を伴っていたが,切除後に無再発長期生存した症例は本症以外にはなく,貴重な症例であるといえる.また,本症では腫瘍の壊死・変性のため胆管十二指腸瘻を形成し,自然減黄されたことも術前の興味深い臨床症状であった.

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