日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
Granulocyte-colony stimulating factor産生胆囊腺扁平上皮癌の1例
西牟田 雅人角田 順久日高 重和竹下 浩明國崎 真己若田 幸樹富永 哲郎永安 武木下 直江福岡 順也増田 淳一
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2017 年 50 巻 9 号 p. 697-705

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抄録

 症例は84歳の男性で,採血での白血球増多とCRP高値を指摘され,腹部エコーでの肝S5,50 mm大の肝腫瘤から肝膿瘍を疑われ抗菌薬投与を行われていたが,治療効果なく,生検にてadenocarcinomaが検出され当科紹介となった.白血球増多・CRP高値であり,測定した血清granulocyte-colony stimulating factor(以下,G-CSFと略記)値が高値を示したことから,G-CSF産生肝内胆管癌または胆囊癌肝浸潤を疑い,手術を施行した.術前,胆囊と肝S5に存在すると思われた腫瘍は肝S4aまで浸潤しており,術式は胆囊摘出術+肝S5+S4a亜区域切除となった.術後採血では白血球数・CRP値は経時的に改善し血清G-CSF値も改善を認めた.病理結果は胆囊腺扁平上皮癌(adenosquamous carcinoma)で抗G-CSF抗体を用いた免疫染色検査にて陽性を示しており,G-CSF産生胆囊腺扁平上皮癌と診断した.手術後28日目のCTで肝内再発を認め,次第に全身状態不良となり術後91日目に死亡となった.非常にまれなG-CSF産生胆囊腺扁平上皮癌を経験したため報告する.

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