日本消化器外科学会雑誌
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原著
クローン病に対して行った狭窄形成術の長期経過と開存率の検討
堀尾 勇規池内 浩基坂東 俊宏蝶野 晃弘佐々木 寛文桑原 隆一皆川 知洋内野 基
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2018 年 51 巻 5 号 p. 327-334

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抄録

目的:クローン病(Crohn’s disease;以下,CDと略記)では,多数回の手術により短腸症候群の発生が危惧されるためにskip lesionに対しては積極的に狭窄形成術(stricture plasty;以下,SPと略記)が行われる.ただ,SP部の長期的な開存率の報告は少ない.そこでSP単独,または併用した症例のSP部の開存率を後ろ向きに検討した.方法:2016年1月までに当科でCDの腸管病変に対して手術を行った1,124例のうち,SPを伴う手術を行った192例を対象とした.SP部が再手術の原因であった症例を非開存例と定義した.なお,再手術時に前回手術のSP部に狭窄がなかった症例は開存例とした.結果:臨床的特徴:男女比は167:33,手術時年齢は34(16~65)歳,病型は小腸型88例,小腸大腸型112例であった.SPの方法:Heineke-Mikulicz法が最も多く456か所,Jaboulay法31か所,Finney法15か所,side to side法が1か所であった.術後合併症:SP術部に縫合不全を生じた症例はなかった.SP部の累積5年開存率は91.7%であった.結語:CDに対するSPは安全に行うことができる術式で,累積5年の開存率は良好であるため,積極的に行うべきであると思われた.

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