日本消化器外科学会雑誌
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編集後記
編集後記
福島 亮治
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2018 年 51 巻 6 号 p. en6-

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6月に入りそろそろ梅雨入りの声も聞こえてきそうな今日このごろです.今月には史上初となる米国と北朝鮮の首脳会談が行われるとのことで,世界中が固唾をのんで見守っています.長年の懸案がどのように解決に向かうのか,あるいは決裂するのか,大いに懸念されるところです.

さて,日本消化器外科学会は今年で50周年を迎え,来月の鹿児島における学術集会にあわせて50周年記念式典が開かれる予定です.本学会は1968年に設立されましたが,翌年の1969年に本学会誌,すなわち日本消化器外科学会雑誌第1巻第1号が発刊されました.そして,最も古い委員会として会誌編集委員会が1972年に設置されています.このような,大変歴史のある委員会の一翼を担っていることは,大変光栄なことであり責任の重さをあらためて痛感させられます.

本号には8編の症例報告が掲載されています.本年の1号から5号までをざっと調べてみると,症例報告以外は原著2編と臨床経験2編のみとなっており,ほとんどが症例報告です.これは,最近論文(特に原著論文)はできるだけ英語で執筆して英文誌に投稿することが推奨される傾向にあるからでしょう.本学会でも国際化が提唱され,学術集会で英語による発表や討論が促進されるとともに,2017年4月に英文誌Annals of Gastroenterological Surgeryを刊行するに至っています.しかし,この雑誌はOriginal Article,Review Articleが中心で,症例報告,臨床経験,速報は投稿できないことになっています.したがって,この種の論文は本学会誌に投稿を勧めるのが学会の立ち位置ということになると思います.

国際化の時代,英語で発信することの意義は非常に大きいものがあります.しかし,これは日本語できちっとした科学論文が執筆できることが前提だろうと考えられます.論文の査読をしていると,日本語の文章や論理構築が稚拙な論文に遭遇することもあり,日本語で論文を書くトレーニングの必要性が感じられます.日本語が母国語である以上,詳細な論理構築をする際は,日本語で行ったほうが考えが深まるのは必然でしょう.国際化の時代に英語による発信は不可欠です.特に若手の先生方には,本学会誌へ積極的に投稿し,論理的思考力や文章力などを磨き,それを基盤に英語論文にチャレンジしていただきたいと思います.

 

(福島 亮治)

2018年6月1日

 

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