日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
S状結腸捻転と術前診断されたS状結腸肝鎌状間膜裂孔ヘルニア嵌頓の1例
細田 清孝柳沢 直恵草間 啓町田 泰一西尾 秋人中田 伸司袖山 治嗣
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2019 年 52 巻 3 号 p. 185-190

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抄録

肝鎌状間膜裂孔ヘルニアは肝鎌状間膜に生じた異常裂孔をヘルニア門とする内ヘルニアである.今回,S状結腸をヘルニア内容とする非常にまれな肝鎌状間膜ヘルニアを経験した.症例は39歳の女性で,脳性麻痺により療養型病棟に長期間入院中であった.腹部膨満から腸閉塞が疑われ,当院に紹介となった.画像検査でS状結腸捻転と診断され,内視鏡的な整復が試みられたが,S状結腸に壊死粘膜を認めたため,開腹手術の適応と判断し,S状結腸捻転の術前診断で緊急手術を施行した.術中所見で,S状結腸の肝鎌状間膜の異常裂孔へS状結腸が嵌頓し,絞扼されていた.異常裂孔を解放,S状結腸を切除した.術後,再発は来していない.S状結腸の肝鎌状間膜裂孔ヘルニアはS状結腸捻転との鑑別が困難であるが,鑑別可能な所見もあり,また,診断を誤ると重篤な転帰を来しうるため,S状結腸の絞扼性イレウスのまれな原因として認識すべき病態と考えられた.

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