2019 年 52 巻 7 号 p. 375-382
症例は34歳の女性で,2日前から左側腹部痛を認め脾梗塞を疑い当院紹介受診された.腹部造影CTにて遊走脾茎捻転,脾梗塞と診断して緊急手術を施行した.術中所見では脾臓は後腹膜と完全に遊離しており脾動静脈を軸として時計回りに2回転し色調不良であった.発症から約8時間後に減捻すると色調は速やかに改善したため脾臓固定術を施行した.術直後より著明な血小板減少が進行し,後出血のため術翌日に再手術を施行した.再開腹時,腹壁から出血を認めたが,脾臓からの出血はなく腫大して表面に斑状の血流不良域を認めた.脾腫による血小板減少と診断して脾臓摘出術を施行した.術後は速やかに血小板の上昇を認め,術後13日目に独歩退院した.遊走脾茎捻転は捻転解除後に血流再開があれば温存することが望ましいが,本症例のように血流再開後に急激な脾腫に伴う血小板減少を来し脾摘を要した症例の報告例は過去にない.