日本消化器外科学会雑誌
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編集後記
編集後記
水島 恒和
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2020 年 53 巻 1 号 p. en1-

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みなさん,明けましておめでとうございます.

令和 最初のお正月をどのように迎えられましたでしょうか.私は自宅で駅伝を見ながらゆっくりと過ごすことができました.ご覧になられた先生方はお気づきになられたかもしれません.今年の駅伝ではピンクのシューズをはいた選手の活躍がひときわ目を引きました.テレビの解説やネットの情報によると,厚底のソールにカーボンプレートが内蔵されており,その反発を利用することによってスピードが上がるとともに,路面からの衝撃を吸収して疲労感も大幅に軽減されることが好記録につながったようです.毎年同じコースを同じようにトレーニングした同じくらいの年齢の選手が走るわけですが,その陰にはさまざまな努力や工夫があり,成績は年々向上しています.今回はそれらの一つであるシューズの開発が大きな成果をもたらしたということでしょうか.このシューズの開発には,メーカーが多くのランナーから集めたデータをAIで解析した結果も活かされているとのことでした.

我々が日々携わっている消化器外科の世界でも同様に,手術成績の向上につながる手掛かりは術者の努力や工夫以外にも色々なところに隠されているはずです.それぞれの術者が自身で得られる経験にはかぎりがあります.何か素晴らしい進歩につながるようなことを経験したとしても,偶然と思って見逃してしまえば次のチャンスはいつまわってくるかわかりません.しかし,それらの経験を論文という形にして蓄積することによって,その中から大きな進歩につながるようなことが発見されるチャンスは,今後飛躍的に増加するものと確信しています.

さて,53巻1号には10編の症例報告が掲載されています.いずれも日常臨床ではあまり経験することのないような症例であり,何らかの大発見につながるきっかけになる可能性は十分にあると思われました.その中から今月の一押し論文として,「Mixed serous neuroendocrine neoplasmに腎細胞癌が併存したvon Hippel-Lindau病の1例」を選ばせていただきました.若年者に発見された二つの腫瘍をきっかけに,遺伝子検査を行い散発性von Hippel-Lindau病の診断に至った症例の1例報告です.von Hippel-Lindau病の可能性に思い至ったことが秀逸であり,合併する腫瘍の組み合わせについても考察されています.また,53巻では,第74回日本消化器外科学会総会特別企画「オペレコを極める」で発表された計31名の先生方の原稿が1号から12号まで毎月掲載される予定です.本号には,大賞を受賞された5名の先生方の原稿が掲載されています.いかに手術の情報を伝わるように残せるかという工夫が満載されていますので,矢永会長のEditorialとともにぜひ,ご一読ください.

まだまだ寒い日が続きますが,今年も本誌が先生方の日常診療のモティベーションや助けとなることを期待しております.

 

(水島 恒和)

2020年1月6日

 

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