日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
術前化学療法中に腫瘍壊死による胃十二指腸動脈仮性動脈瘤出血および十二指腸と胆管への穿通を来した膵頭部癌の1切除例
北見 智恵河内 保之五十嵐 俊彦牧野 成人西村 淳川原 聖佳子新国 恵也
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2020 年 53 巻 7 号 p. 583-591

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抄録

術前化学療法中に腫瘍内動脈の仮性動脈瘤破裂,十二指腸,胆管への穿通を認めた膵頭部癌の1例を報告する.症例は70歳の男性で,膵頭部癌と診断された.CTで胃十二指腸動脈(gastroduodenal artery;以下,GDAと略記)が腫瘍内部を走行,狭小化し,胆管,上腸間膜静脈浸潤を認めた.Gemcitabine+nab-paclitaxel 1コース終了後,腫瘍内のGDA仮性動脈瘤破裂による出血のためGDA塞栓術を行った.Grade 3の化学療法副作用を認めたため,待機手術としたが,動脈塞栓から2週間後に再出血し,緊急で手術を行った.切除標本で十二指腸,胆管への穿通,腫瘍壊死による組織欠損を認め動脈壁内血腫を認めた.動脈破綻出血に対し,手術に先行して動脈塞栓を施行することは血行動態の安定をはかるうえで有用である.化学療法中のoncologic emergency症例においては全身状態と化学療法副作用の影響も考慮に入れた検討が必要である.

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