日本消化器外科学会雑誌
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原著
90歳以上の超高齢者における消化器外科緊急手術後の在院死亡に対する術前リスク評価
魚谷 倫史西田 保則小田切 範晃吉福 清二郎高 賢樹笹原 孝太郎岸本 浩史藤井 努田内 克典
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2020 年 53 巻 7 号 p. 549-557

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抄録

目的:90歳以上の超高齢者に対する消化器外科緊急手術において,術前にスコアリングが可能な評価指標であるPOSSUMスコア,P-POSSUMスコア,E-PASSスコア,SIRSスコア,qSOFAスコアの治療成績における有用性について検討する.方法:2013年4月から2018年3月までに当科で全身麻酔下に消化器外科緊急手術を行った90歳以上の超高齢者107例を対象とした.治療成績と上記の評価指標について生存退院群と術後在院死亡群で比較検討を行った.結果:疾患の内訳は絞扼性腸閉塞31例(29.0%),嵌頓ヘルニア19例(17.8%),消化管穿孔18例(16.8%),急性虫垂炎13例(12.0%)などであった.術後合併症は61例(57.0%)で認め,術後在院死亡は7例(6.5%)であった.84.1%の症例で術前の生活拠点へ退院が可能であった.評価指標のうち,E-PASSスコアのpreoperative risk score(P=0.008)とcomprehensive risk score(P=0.015),SIRSスコア(P=0.045)について有意に術後在院死亡群でスコア値が高かった.結語:90歳以上の消化器外科緊急手術の治療成績は比較的良好であった.術前のリスク評価には,E-PASSスコア,SIRSスコアが有用である可能性が示唆された.

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