日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
乳腺小葉癌と多発びまん性胃癌の病歴から臨床的に遺伝性びまん性胃癌が疑われた1例
植竹 優香小島 成浩小川 史洋小島 なるみ森 美鈴矢島 和人金 達浩
著者情報
ジャーナル オープンアクセス HTML

2022 年 55 巻 2 号 p. 73-81

詳細
Abstract

遺伝性びまん性胃癌は,胃印環細胞癌と乳腺小葉癌を高率発症することを特徴とした常染色体優性遺伝の疾患である.今回,多発びまん性胃癌と乳腺小葉癌の既往から遺伝性びまん性胃癌を疑った症例を経験した.症例は77歳の女性で,45歳時に乳癌の手術歴がある.上部内視鏡検査で幽門前庭部から体中部小彎に多発する褪色調小陥凹を認め,生検で低分化腺癌の診断となり,多発早期胃癌の診断で胃全摘術を施行した.再建時に空腸と肝S3後面に小結節を認め診断目的に切除を行った.病理組織学的検査では胃全域に少なくとも155か所の多発癌を認めた.採取した空腸と肝臓からも同様の腺癌を認め転移と診断した.50歳未満で発症した小葉性乳癌の既往と,特徴的な胃の病理所見から遺伝性びまん性胃癌を疑った.本邦での遺伝性びまん性胃癌の報告は非常に少なく,診断および治療選択の構築と診療体制の整備のため症例集積が望まれる.

Translated Abstract

Hereditary diffuse gastric cancer is a genetic cancer susceptibility syndrome characterized by a high risk for gastric and lobular breast cancer. We herein report a case of a 77-year-old woman with clinically suspected hereditary diffuse gastric cancer. The patient had undergone surgery for lobular breast cancer at the age of 45. Endogastroduodenoscopy revealed multiple discolored foci from the prepyloric area throughout the lesser curvature of the gastric body. Histopathological examination showed poorly differentiated adenocarcinoma. The patient underwent total gastrectomy following diagnosis of multiple early-stage gastric cancer. During surgery, we found small nodules on the jejunum and liver S3 segment, and excised these nodules for diagnostic assessment. A histopathological study revealed at least 155 lesions involving signet-ring cell carcinoma spread across the entire stomach, and metastasis to the jejunum and liver. There were no CDH1 germline mutations; however, we clinically suspected hereditary diffuse gastric cancer due to specific pathological findings for the stomach and the history of lobular breast cancer. Hereditary diffuse gastric cancer has rarely been reported in Japan, and accumulation of cases is required for establishing diagnostic and treatment strategies for this genetic disease.

はじめに

遺伝性びまん性胃癌(hereditary diffuse gastric cancer;以下,HDGCと略記)は,胃印環細胞癌と乳腺小葉癌を高率発症することを特徴とした常染色体優性遺伝性疾患であり,主な原因として細胞間接着を担うE-カドヘリンをコードしているCDH-1遺伝子の生殖細胞変異が知られている.1998年にGuilfordら1)によりマオリ族の家族性びまん性胃癌の3家系が報告され,1999年のInternational Gastric cancer Linkage Consortium(以下,IGCLCと略記)でHDGCの概念が初めて提唱された.HDGCの報告例は欧米を中心に種々の人種で発見されているが2)~4)本邦での報告は少ない.今回,少なくとも155個の微小癌病変を認めた多発びまん性胃癌と乳腺小葉癌の既往からHDGCを疑った症例を経験したので報告する.

症例

患者:77歳,女性

主訴:腹痛

現病歴:上腹部不快感のため4年前から3度の上部消化管内視鏡検査を受けていたが,肉眼所見および生検で異常所見を認めていなかった.今回,同症状の再燃に対し上部消化管内視鏡を行った際,幽門前庭部後壁および小彎側にびらんがみられ,生検で印環細胞癌を伴う低分化腺癌を認めた.上部消化管内視鏡を再検し,病変の範囲を確認するため胃体部中心にサンプリングした七つの検体の全てに低分化型腺癌を認め,多発早期胃癌の診断で手術目的に当科に紹介となった.

既往歴:45歳で乳癌に対し左乳房切除および腋窩リンパ節郭清,46歳で卵巣囊腫に対し卵巣・子宮摘出,75歳で頭蓋骨腫瘍摘出術(病理組織学的検査で乳癌再発の診断)を受けている.H. pyloriの感染歴および除菌歴はなし.

家族歴:父の弟が70歳代,母の弟が60歳代で胃癌に罹患した(Fig. 1).その他両親,3人の同胞,3人の実子,祖父母,孫,甥,姪を含む2度近親者内に悪性腫瘍の既往歴なし.口唇口蓋裂の家族歴なし.

Fig. 1 

Pedigree chart. The arrow shows the patient in the reported case. Individuals affected with gastric cancer are shaded in black. GC: gastric cancer.

生活歴:喫煙歴なし,機会飲酒

入院時現症:腹部は平坦,軟,圧痛なし.下腹部正中切開痕あり.

血液生化学所見:貧血なし.凝固機能異常なし.胆道系酵素上昇なし.腎機能障害なし.電解質異常なし.糖尿病なし.CEA,CA19-9上昇なし.

上部消化管内視鏡検査所見:幽門前庭部から体中部小彎に褪色調小陥凹~平坦病変が多発していた(Fig. 2a, b).

Fig. 2 

Endogastroduodenoscopy revealed multiple discolored foci from the prepyloric area throughout the lesser curvature of the gastric body. a: White light imaging. b: Narrow band imaging.

病理組織学的検査所見:病変の範囲を確認するため胃体部中心にサンプリングした七つの検体の全てに腺癌(tub2,sig,por)が認められた.

下部消化管内視鏡検査所見:盲腸とS状結腸に憩室を認めたほか異常なし.

胸部CT所見:明らかな転移を疑う所見なし.

腹部CT所見:原発巣は同定されず.明らかな肝転移,傍大動脈周囲リンパ節転移,腹膜播種を疑う所見なし.有意な所属リンパ節腫大なし.

入院後経過:術前検査所見より多発早期胃癌 cT1N0M0(Stage I)の診断で腹腔鏡下胃全摘術を施行した.開始時の腹腔内検索では他臓器転移,腹膜播種,リンパ節転移の所見を認めなかった.標本摘出後,再建時に上部空腸と肝S3の後面に小結節が認められたため診断目的で切除した.術後の経口摂取が不良であったが改善を得て術後21日目に退院となり,その後,化学療法を開始した.S-1単独療法(3週間1コース,day 1~14)を12コース施行したところで腫瘍マーカーの上昇があり,paclitaxel(PTX)+ramucirumab(RAM)療法(4週間1コース,PTX day 1/8/15,RAM day 1/15)へ移行した.5コースを行った時点での効果判定ではstable disease(SD)であった.その後10コースまで投与したが,全身状態の悪化と腹水貯留が見られ,化学療法の継続は困難と判断し,症状緩和主体の治療へ移行している.

病理組織学的検査所見:肉眼所見では0-IIc型病変,びらん性変化などが胃全体に多発していた.最大でも5 mm程度,多くは2 mm以下の微小癌が,少なくとも155か所で認められた.組織学的に確認された多くの微小癌病巣を肉眼的に捉えることは困難であった(Fig. 3a).通常の胃底腺領域にみられる組織に,腺窩上皮に核形不整,極性の乱れ,間質浸潤,signet-ring cell carcinoma in situ 様の像が認められた(Fig. 3b).弱拡大では一見正常の組織像に見えるが(Fig. 3c),強拡大では粘膜固有層(Fig. 3d),粘膜下層(Fig. 3e),固有筋層のリンパ管(Fig. 3f)および漿膜面(Fig. 3g)と胃の全層に腫瘍細胞が散在していた.腫瘍細胞は抗E-cadherin抗体染色陽性(Fig. 3h),ER陽性(Fig. 3i),PgR陰性(Fig. 3j)であった.HE染色標本において確認できる範囲では,H. pyloriに相当するmicroorganismは確認されなかった.上部空腸には14×10 mmの粘膜下腫瘍様の隆起がみられ(Fig. 4a)組織学的には腺筋腫であったが,腺筋腫の近傍の漿膜下層にはER陽性,PgR陰性の腫瘍細胞が孤立散在性に認められた(Fig. 4b).肝S3の小結節は5.0×2.4 mmで組織学的に同様の所見であった(Fig. 5).リンパ節については郭清リンパ節20個中,1,3a,4sa,4d,6,7番に合計17個に転移を認めた.作成標本中には明らかな静脈侵襲は認めなかった.以上より,Union for International Cancer Control第8版TNM分類pT4N3aM1(Stage IV),胃癌取扱い規約第15版進行度分類 pT4aN3aM1(Stage IV)となった.

Fig. 3 

Pathological findings in the stomach. a: A resected specimen showed multiple 0-IIc lesions and erosive changes in the entire body. White lines indicate spread of signet-ring cell carcinoma. b: The specimen showed irregularities of nuclei and polarity in the crypt epithelium, interstitial infiltration of carcinoma, and a signet-ring cell carcinoma in situ-like appearance (HE staining, ×400). c: A normal whole layer seemed to be present. Black flames refer to the following figures (HE staining, ×40). d: Tumor cells were located in the lamina propria (HE staining, ×200). e: Tumor cells were located in the submucosa (HE staining, ×200). f: Tumor cells were located in the muscularis with invasion of the lymphoduct (HE staining, ×400). g: Tumor cells were located in the serosa (HE staining, ×400). h: Tumor cells were negative for E-cadherin expression, but normal gastric glands were positive (E-cadherin staining, ×200). i: Tumor cells were positive for ER (ER staining, ×200). j: Tumor cells were negative for PgR (PgR staining, ×200).

Fig. 4 

Pathological findings in the jejunum. a: Resected specimen. The arrow shows a submucosal tumor-like lesion. b: A few tumor cells were located near the adenomyoma in the subserosa (HE staining, ×400).

Fig. 5 

Pathological findings in the liver. The specimen showed liver metastasis (HE staining, ×200).

既往の乳癌の組織型が不明であったため,乳癌骨転移の切除標本を前医より取り寄せて確認したところ,頭蓋骨転移巣はE-cadherin陰性,CK8が核辺縁部で陽性であった.前医で施行されていたER陽性,PgR陽性の所見も併せて乳腺小葉癌の転移であると考えた.40歳代発症の乳腺小葉癌の既往と多発びまん性胃癌の発症からHDGCが強く疑われた.後に行った遺伝子検査ではCDH-1遺伝子変異は認めなかった.

考察

HDGCは,胃印環細胞癌と乳腺小葉癌の高率発症を特徴とした常染色体優性遺伝の症候群である.原因となる主な遺伝子変異として1998年にGuilfordら1)が初めて報告したCDH-1生殖細胞変異がある.CDH-1遺伝子は細胞間接着を担うE-カドヘリンをコードしている.E-カドヘリンが不活化されると,E-カドヘリンの細胞内ドメインに結合していたβ-カテニンが遊離し,核内に移行して細胞増殖に関わる遺伝子の転写が活性化され,印環細胞癌が発生・増殖する5).このことからCDH-1遺伝子は癌抑制遺伝子の一つであるとも考えられている.本症例ではCDH-1遺伝子変異を認めなかったが,臨床的にHDGCを疑う家系でもCDH-1遺伝子変異を認める割合は30~40%であると報告されている6).CDH-1遺伝子以外にも,E-カドヘリンと複合体を形成するα-カテニンをコードCTNNA-1の遺伝子異常がHDGCの原因となることが2013年に報告された7).また,Sugimotoら8)は遺伝性胃癌はde novoでも起こると報告している.

IGCLCによるガイドラインは2015年に改訂され,新たな診断基準と遺伝子検査の適応の指針を示している(Table 19).Establish criteriaの1項目でも満たした場合は臨床的にHDGCと診断し,families in whom testing could be consideredの1項目でも満たした場合はCDH-1遺伝子変異検査が推奨される.本症例においてはこのガイドラインを根拠の一つとして診断を進めた.本症例は高齢発症であり,2人の叔父の胃癌の詳細は不明で,かつCDH-1遺伝子変異を認めなかったが,50歳未満での乳腺小葉癌の既往とびまん性胃癌の発症からHDGCを強く疑った.HDGCの症例報告は欧米を中心に多く本邦での報告は少ない.医学中央雑誌でHDGCの概念が提唱された1999年から2019年の期間で「多発」,「遺伝」,「胃癌」をキーワードとして症例報告を検索した結果,HDGCと診断された,あるいは強く疑われた症例は,本症例を含め5例のみであった(Table 28)10)~12).胃癌の発症年齢は20歳代~40歳代が中心で,本症例は比較的高齢である.全員が胃全摘術を受けており,38か所~200か所の多発病変が認められた.乳腺小葉癌を合併したのは本症例のみである.

Table 1  Test criteria for clinical hereditary diffuse gastric cancer
Established criteria
2GC cases regardless of age, at least one confirmd DGC
One case of DGC <40
Personal or family history of DGC and LBC, one diagnosed <50
Families in whom testing could be considered
Bilateral LBC or family history of 2 or more cases of LBC <50
A personal or family history of cleft lip/palate in a patient with DGC
In situ signet ring cells and/or pagetoid spread of signet ring cells

GC: gastric cancer, DGC: diffuse gastric cancer, LBC: lobular breast cancer

Table 2  Case reports in Japan in which hereditary diffuse gastric cancer was diagnosed or strongly suspected
No. Author Year Age* Sex (M/F) Lobular breast cancer Family history of gastric cancer Surgical procedure Number of gastric lesions Pathology TNM criteria CDH1 mutation testing CDH1 mutation
1 Sugimachi10) 2010 32 F Mother
Grandfather
Brother
Uncle
TG 38 Sig pT1N0M0 N/A N/A
2 Sugimoto8) 2014 41 M None TG 90 and more Sig N/A done +
3 Yamada11) 2014 34 F Father
Grandfather
Son
DG at the age of 34, CG at the age of 55 Approximately 200 Sig N/A done +
4 Matsuyama12) 2017 24 F Father
Grandmother
TG 183 Por2, Sig pT2N2M0 N/A N/A
5 Our case 77 F + 2 uncles TG 155 and more Sig pT4aN3aM1 done

*Age of onset of the gastric cancer, TG: total gastrectomy, DG: distal gastrectomy, CG: complete gastrectomy, N/A: not available

2018年の統計では世界的におよそ78万人が胃癌で死亡したと推測されているが,ほとんどの胃癌は孤発性で,遺伝性があるのは1~3%である13)14).胃癌を発症する遺伝性疾患としてLi-Fraumeni症候群,Lynch症候群,Peutz-Jeghers 症候群,遺伝性乳癌卵巣,MUTYH関連腺腫性ポリポーシス,家族性腺腫性ポリポーシス,若年性ポリポーシス症候群,PTEN過誤腫腫瘍症候群(Cowden症候群)などが挙げられるが,これらの遺伝性疾患での生涯胃癌発症率は概して低い9).これに対しCDH-1生殖細胞変異のある症例では80歳までの胃癌発生リスクは男性70%,女性56%,女性の乳腺小葉癌発生リスクは42%と報告されており,他の遺伝性疾患に比べ胃癌の発生率が著しく高い9)15).HDGCの5年生存率は30%以下と非常に低いことに加え,粘膜固有層に散在するpitや腺管の破壊構造を伴わない微小な病巣を内視鏡所見で早期発見をすることは困難であることから,IGCLCのガイドラインではCDH-1遺伝子変異が見つかった場合には予防的胃全摘術が推奨されている9)

家族歴とCDH-1遺伝子変異のある18人を対象にした前向き研究によれば,13人は無症候,5人は症候性であったが,胃全摘術を行ったところ17人から印環細胞癌が認められ,無症候の13人は再発なく経過したが,症候性の5人のうち3人は2年以内に死亡した16).症候性であれば内視鏡で診断できる可能性は高まるが,その時点で既に転移を有しており予後は不良であった.加えて無症候で術前に印環細胞癌を同定できたのは2人だけであり,内視鏡検査による診断には限界があるためCDH-1変異陽性患者には予防的胃切除をすべきだとしている.本症例においても,4年前から3度の内視鏡検査を受けていたが異常は指摘されず,今回早期胃癌の診断で手術を行ったが実際には遠隔転移を伴う進行癌であり,HDGCの内視鏡検査による病巣の特定が困難であることに加え,症候性の場合には進行癌である場合が多く予後が不良であることを強く示している.

我々が調べたかぎりHDGCの転移形式に関しての記載がある文献は見つからなかった.HDGCに特徴的な組織形態は,病変が粘膜内に限局する早期癌では,増殖性が乏しい印環細胞癌がみられ,病期が進行するに従い,深層に増殖性が高いより分化度の低い癌細胞がみられるようになるというものである17).本症例においても同様の組織形態が認められた.また,細胞接着因子であるE-カドヘリンの減弱は病期の進行とも関連するとされ,進行癌でみられるような分化度が低く細胞接着の弱い癌細胞は,どのような転移形式も取りうる可能性があると考えられる.本症例における空腸転移巣は,漿膜下層に腫瘍細胞が孤立散在性にみられており,空腸原発の印環細胞癌ではなく,胃癌の播種性転移を考えた.肝転移巣は通常は血行性転移であると考えられることから,作成した標本内には認めなかったが脈管侵襲は存在している可能性がある.

海外では予防的胃全摘術が行われることもあり症例集積研究もみられるが,本邦において検索した範囲でHDGCに対して予防的胃全摘術を行った報告はない18).本邦では,HDGCに対する遺伝子検査や遺伝カウンセリング,予防的胃全摘術は保険適応外の状況である.内視鏡検査での早期発見は困難であるが,予防的胃全摘術が通常は選択されない本邦においては治療選択のうえで内視鏡検査は重要である.IGCLCのガイドラインではCambridge protocol に則り年1~2回の詳細な上部内鏡検査を推奨している9).HDGCの早期胃病変は多発の小さな褪色調病変ととらえるとの報告が多い19)20).本症例においても褪色調小陥凹~平坦が観察されたが,特に狭帯域光下で視認性が向上したように思われた.

HDGCでは乳腺小葉癌を発症するリスクがあり,ガイドラインでは35歳からのマンモグラフィーとMRIによる1~2年ごとのスクリーニングが推奨されている.また,胃癌の既往や家族歴にかかわらず,両側乳腺小葉癌を発症した患者はCDH-1遺伝子検索が考慮されるとある.本邦における乳腺小葉癌と胃癌を発症したHDGCの報告は本症例が1例目であった.本症例は片側性であり,片側性乳腺小葉癌の患者に対するCDH-1遺伝子検索の適応については,今後の症例集積による検討が必要である.

HDGCは日常診療では遭遇することの少ないまれな疾患であるが,ピロリ菌感染による孤発性胃癌の減少,内視鏡診断技術の向上,遺伝子検索の進歩や遺伝カウンセリングの普及によりHDGCへの関心はさらに高まってくることが予想される.診断および治療選択の構築と診療体制の整備のため,本邦からの症例集積が望まれる.

利益相反:なし

文献
 

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
feedback
Top