日本消化器外科学会雑誌
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特別報告
消化器外科医の働き方改革~いま医療機関そして消化器外科診療に関わる医療従事者へお伝えしたいこと~
藤川 葵
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2023 年 56 巻 2 号 p. 110-116

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はじめに

少子高齢化・人口減少社会の我が国において,一般の労働者に対する時間外労働の上限規制が2019年度から始まり(中小企業は2020年度から),今や「働き方改革」は大企業から中小企業まで,多様な働き方を実現し,多くの労働力を確保していくために,様々な取り組みが行われています.医療分野でも,いままでの特別な働き方ができる人だけが活躍できるような働き方を見直して,子育て中の方々や高齢な方々など,多様な医療従事者が活躍をしつづけるために,働きやすい環境を作っていくことが大切です.また,国民に対する医療提供体制の確保は重要であるものの,医師についても,医師である前に一人の人間であり,健康への影響や過労死さえ懸念される現状を変えて,健康で充実して働き続けることのできる社会を目指していく必要があります.こうした中,ついに医師に対する時間外・休日労働の上限規制と長時間労働医師に対する健康確保の規定した法律が2024年4月から施行されます.「医師の時間外・休日労働の上限を規制する」と言われて,どのようなイメージを抱かれるでしょうか.捉え方は医師一人一人で大きく異なると思いますが,あと1年後に迫った今般の医師の働き方改革関連制度は,地域医療提供体制の確保と医師の健康確保の両立を議論の中心に添え,国の検討会における有識者の議論の末,5年以上の歳月をかけて整備されてきました.今回,制度の概要と,今後,医療機関そしてとりわけ消化器外科診療に関わる医療従事者の皆様に取り組んでいただきたい準備事項について解説をしていきたいと思います.

1. 医師の時間外労働上限規制適用の経緯(図1)

我が国の医療は,現在まで,他職種と比較すると長時間の労働を行う医師によって支えられてきました.さらに,少子高齢化や疾病構造の変化,医療の高度化,個々の患者に応じたきめ細やかな対応など,現代の医療の抱える課題は,その医療を支える医師達の長時間労働に拍車をかけている側面もあります.未来の医師達が,健康にいきいきと働き続けられれば,その医師の目の前に存在する患者さん,国民の皆さんへの医療の質・安全を維持することに繋がることは想像にたやすく,現在の医師の長時間労働の実態やシステムを改革していくことは,今後も良質な医療提供体制を維持していく上での喫緊の課題となっています.

図1 

医師の働き方改革の議論の経緯

医師に関する時間外労働の上限規制の具体的な内容については,政府の「働き方改革実現会議」における2017年3月の「働き方改革実行計画」で「医療界の参加の下で検討の場を設け,質の高い医療と医療現場の新たな働き方を目指し,2年後を目処に規制の具体的なあり方,労働時間の短縮策等について検討し,結論を得る」とされたことを受けて,2017年8月から「医師の働き方改革に関する検討会」で議論が始まりました.2019年3月のこの検討会の報告書では,診療に従事する勤務医の時間外労働の特例的な上限水準や,長時間労働を行う医師に対する健康確保の枠組み等が示されました.その後,後継の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」において,地域医療提供体制の維持と,医師の健康確保の観点から,やむを得ず長時間労働となる医師が勤務する医療機関を都道府県が指定する枠組みを設けることや,具体的な健康確保の内容についての議論が行われ,2020年12月のこの検討会の中間とりまとめが行われました.その後,医師の時間外労働上限規制に関する様々な議論を踏まえ,2021年5月21日に「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が国会で可決・成立しました.

2. 医師の時間外労働上限規制の概要(図2)

2024年4月1日から,診療に従事する勤務医の時間外・休日労働時間は,原則として年960時間が上限となります(A水準).ただし,医療機関が,地域医療の確保などの必要からやむを得ず,所属する医師に,この年960時間を上回る時間外・休日労働を行わせる必要がある場合は,その理由に応じて,都道府県知事から指定を受ける必要があります.指定を受ける場合は,その勤務医の時間外・休日労働は,年1,860時間が上限です(連携B・B・C-1・C-2水準).この1,860時間というは,令和元年および平成28年度の医師の勤務実態調査において,週労働時間の上位約1割の病院常勤勤務医が,年間の時間外・休日労働が約1,860時間を超えているという実態を踏まえたものです1).まずは2024年4月までにこの上位1割の医師の労働時間を短縮することとし,国の検討会において,医師の時間外・休日労働の上限は年1,860時間としたうえで,制度設計の具体的な議論が行われました.

図2 

医師の時間外労働規制について

医療機関がやむを得ず勤務医に年960時間を超えて長時間労働を行わせる必要がある場合には,都道府県から指定を受ける必要があります.これは,様々な医師の労働時間短縮の取り組みを各医療機関単位で行ったとしても,その医療機関における地域医療提供体制を確保するため(B水準)に,またはその医療機関が医師の派遣を通じて地域医療提供体制を確保するため(連携B水準)に,もしくは,技能の修得・向上を集中的に行わせるため(C-1・C-2水準)に,医師の時間外・休日労働が年間960時間をやむを得ず超えてしまう場合があることから,都道府県が,地域における医療提供体制に照らし,各医療機関の労務管理体制を確認した上で,やむを得ず高い上限時間を適用する医療機関を指定するという枠組みとしたためです.繰り返しになりますが,本制度は,我が国の地域医療提供体制の維持と,医師の健康確保の両輪の議論であり,時間外・休日労働が年間960時間を超えて特別に長く働くことになる医師については,確実に健康を確保する観点から,医師に対する面接指導と勤務間インターバルの確保を管理者へ義務づける等の健康確保措置が規定されました.なお,裁量労働制が適用される医師,また,健診業務など診療を直接の目的とする業務に従事しない医師に対しては,このA,連携B,B,C-1,C-2水準といった医師の特別な上限規制は適用されず,医療機関における労務管理は,通常の労働者と同じ取扱いとなることに留意が必要です.

3. 消化器外科医の働き方改革

前述の令和元年の医師の勤務実態調査によれば,時間外・休日労働が年1,860時間換算以上の医師の割合を診療科別に見ると,外科で16.7%であり,救急科で18.1%,脳神経外科で16.2%,産婦人科で11.8%,整形外科で10.1%という結果でした.2024年4月にはこうした医師の時間外・休日労働時間を年通算1,860時間以下に収める必要があります.医療機関において,この医師の労働時間短縮にかかる具体的な方策については他稿を参照していただきたいですが,消化器外科医が長時間労働となるのは,およそ以下の様な業務の特性があるためと考えます.現在,以下の①~⑤の全てを担われている医師もいらっしゃるかもしれません.

① 良性疾患から悪性腫瘍まで,手術時間と難易度の異なる幅広な手術の修練に関する業務

② 臨床研修医,外科専攻医に対する外科基本手技の指導に関する中心的業務

③ 緊急手術への必要最低人数(2~3名)を待機させつつ,24時間救急疾患へ対応する業務

④ 抗腫瘍薬を用いた化学療法から外来,手術,緩和ケアに至る,患者毎にチームで行う悪性腫瘍診療業務

⑤ 手術に関する内容にとどまらない臨床研究,及び遺伝子分析をはじめとする基礎研究に関する業務

これらの業務の時間は,医療機関そして医師個人が短縮を試みることができるものと,そうでないものがあり,我が国の医療水準を維持・発展していくために,いわゆる「必要な時間外・休日労働」が一部にはあると考えます.(なお,①の修練については多くの消化器外科専門医を目指す医師,消化器外科指導医を目指す医師の皆様が長時間労働たる所以であると推測されますが,このような長時間労働を行いながらも,日々修練の積み重ねが求められる医師に対して設けられた水準がC-2水準です.)

しかし,現実に時間外・休日労働時間を年通算1,860時間超となっている医師については,その医師の時間外・休日労働を2024年4月に向けて年通算1,860時間以内に短縮する必要があります.こうした,「超」長時間労働の医師以外にも,長時間労働が常態化している医師がいる場合は,診療科内そしてその診療領域に関わる医療従事者を交えた以下の取組が肝要であると考えます.

(1) 医師以外の職種へのタスク・シフト/シェア

医師の労働時間短縮で最も即効性があるのは,医師以外の職種への業務移管と共同化,すなわち,タスク・シフト/シェアと考えられます.厚生労働省では,現行制度の下で医師から他の医療関係職種へのタスク・シフト/シェアが可能な業務の具体例を,職種ごとに明示しています(令和3年9月30日付 医政発0930第16号厚生労働省医政局長通知).例えば,看護師の業務としては,注射,採血,静脈路の確保に始まり,特定行為(39行為21区分)の実施まで明示しています.また,職種にかかわらずタスク・シフト/シェアを進めることが可能な業務として,診療録等の代行入力や,診断書作成をはじめとする各種書類作成,日常的に行われる検査に関する定型的な説明等も明示し,いわゆる医師事務作業補助者と呼ばれる職員へのタスク・シフト/シェアについても明示しました.医師の専門性を生かした仕事に,医師が集中できる環境を整備することは,医療機関内での効率的な医療サービスの提供にもつながると考えられます.

ただし,医療機関におけるタスク・シフト/シェアを推進することで,業務を移管された医療関係職種の労働時間にも影響が懸念されます.こうした懸念を前もって最小限とするためにも,タスク・シフト/シェアの推進に関しては,医療機関内で医師とその他の医療関係職種との話合いを行い,お互いの業務に対し敬意を表しつつ,医療機関全体で協働していく共通認識を持つことが重要であると考えます.

(2) 医師間でのタスク・シェア

業務の種類によっては,他職種へのタスク・シフト/シェアが難しいものも存在します.一方で,同一の診療科内で一部の医師に対してこうした「医師の専門性が必要とされる業務」が集中している場合があります.いわゆる,「主治医制」はその一例です.「患者さんの主治医は,一人でその患者に関わる業務に責任を持って担わなければならない」というのは最もではありますが,全てを一人で担わずとも,業務の内容によっては他の医師と共同化(タスク・シェア)できるものもあります.「主治医制からチーム制へ」と呼ばれる労働時間短縮のための取組ですが,チームの構成員は必ずしも消化器外科医だけで構成される必要はなく,年代の異なる医師や専門性の異なる医師がチームとなって診療を行うことで,より患者さんに適切かつ迅速に診療を行うことができ,チームの医師一人一人の労働時間短縮につながるものと考えます.

また,医師間のタスク・シェアとは少し意味合いが異なるかも知れませんが,子育て中の医師の夜間・休日の勤務への積極的な診療参加は,「超」長時間労働となっている医師の労働時間短縮につながります.消化器外科医にとっての夜間・休日の勤務は,少ないマンパワーの中であっても救急患者に対する治療戦略を立てる,術後関連合併症による急変対応を行う等,特に若い世代で修練の途中にある者にとっては非常に学びの多いものです.ただし,こうした夜間・休日の勤務は,身体的・精神的な労働負荷が少ないわけではないので,どうしてもこの労働負荷に耐えられる医師に業務が集中してしまう医療機関もあると思います.こうした場合に,子育て中の医師の希望が前提とはいえ,子育てと消化器外科医としての技能の維持・向上の両立を胸の内に秘めているような医師には,ぜひ夜間・休日の勤務への参加を打診していただきたいです.月に1回でもこうした子育て中の医師が夜間・休日の勤務に従事することで,同じ診療科で「超」長時間労働となっている医師の夜間・休日の勤務が月に数時間削減されることは,一年でみると大きな労働時間短縮につながります.

(3) 診療科のリーダーを中心とした意識改革

医師以外の職種へのタスク・シフト/シェア,そして医師間のタスク・シェアを進めるために,今も病棟の最前線で働く消化器外科医一人一人が思いを募らせても,医師の労働時間は個人の意識だけでは短縮に至りません.医師の労働時間の短縮を目指した働き方改革は,組織のリーダーがマネジメント能力を発揮して対応していくことが不可欠です.医療現場における小さな組織といえば,診療科です.診療科のリーダーを中心として,医師の働き方改革をどのように進めていくべきか,お互いに意見を交換できるような会議体を設けるところから始めて下さい.

図3 

特定労務管理対象機関の指定に係る都道府県・医療機関の手続きの流れ

4. 時短の取組以外に医療機関が今後取り組むべき事項

(1) 医療機関勤務環境評価センターによる評価の受審等に向けた準備(3

医療機関が,地域医療確保暫定特例水準(連携B水準,B水準)または,集中的技能向上水準(C-1水準,C-2水準)に関する指定を都道府県より受けておく必要があると判断した場合は,指定に先立ち,①令和6年度以降の医師労働時間短縮計画(以下「時短計画」という.)の策定,②医療機関勤務環境評価センター(以下「評価センター」という.)における第三者評価の受審,③都道府県への指定申請という手続きを踏む必要があります.それぞれの準備や手続きにかかる時間を考慮すると,2022年度内には評価センターによる評価の受審準備を終えておく必要があります.そのため,遅くとも2023年3月までには,医療機関における地域での医療提供体制上の役割,勤務する医師の現在の労働時間,医師の行っている業務の特性,そして今まさに取り組んでいる医師の時間外労働を短縮するための取組の効果や将来的な医業経営的な視点などをすべて踏まえ,医療機関がどの「水準」を用いて2024年4月以降に医師の労務管理を行っていくか,その判断を行う必要があります.なお,地域医療確保暫定特例水準(連携B水準,B水準)及び集中的技能向上水準(C-1水準,C-2水準)を適用する必要のある医師がいない場合は,評価センターの評価受審と指定申請の手続きは不要です.

特に評価センターの評価受審は,医療機関の管理部門が中心となって準備を行う必要があります.評価を行う内容(評価項目)は,長時間労働を行う医師に対する健康確保措置(面接指導や勤務間インターバル確保等)の実施体制の整備に代表される「医師の労働時間短縮に向けた労務管理体制の構築(ストラクチャー)」に関するもの,タスク・シフト/シェアの実施に代表される「医師の労働時間短縮に向けた取組(プロセス)」に関するもの,医療機関全体の医師の時間外・休日労働の時間数(平均,最長等)に代表される「労務管理体制の構築と労働時間短縮の取組実施後の評価(アウトカム)」に関するもの,の計88項目となっています.その項目のうち,労働関係法令及び医療法に規定された事項は「必須項目」と呼ばれ,これらの項目に改善が必要な場合は,評価が保留となってしまい,評価結果を受け取ることができません.医療機関の医師の労働時間短縮の取組の評価に関するガイドライン(評価項目と評価基準)第1版には,各項目の詳細が記載されているので項目内容を確認し,項目内容の確認ができる書面の準備が必要です2)

なお,評価センターは厚生労働省の指定法人として公益社団法人日本医師会が担っており,ホームページが公開され,2022年10月31日より評価の申請受付が開始されております.また,この評価センターが行う各医療機関の評価は,「サーベイヤー」と呼ばれる医師及び社会保険労務士が担当することになっております.

(2) 医療機関内の医師への周知

厚生労働省で開催した「勤務医に対する情報発信に関する作業部会」における勤務医へのアンケート調査3)では,勤務医の大半が,医師の働き方改革に関する情報を主に所属組織(病院・診療科・医局等)や周囲(上司や同僚)から得ており,これらの主体による発信が周知を行う上で効果的であると分析されました.また,医師の働き方改革の制度内容に関する認知度について,医療機関ごとのアンケート調査結果にばらつきが見られたことからも,医療機関内の周知活動が勤務医の制度認知に影響を及ぼしていることが示唆されました.

これらの点から,本作業部会では,医療機関内で直属の指導関係にある身近な上司(教授,診療科長,上級医等)や事務部門の働き方改革への取組姿勢が,院内の勤務医の働き方改革への認知や行動変容に影響する可能性があり,日常的に顔が見える関係性での発信が行動変容につながりやすいと結論づけております.まずは診療科の医師が顔を合わせる場(医局会等)において,特に,今回の制度下でこれからますます医師としての修練を重ねることとなる若い世代の医師を対象に,少しずつでも医師の働き方改革をトピックに挙げていただきたいと思います.なお,厚生労働省では,本作業部会での議論を踏まえ,医療機関内での医師の働き方改革の情報発信に用いることのできる,解説スライドやeラーニング,また解説冊子を作成及び公開を予定しております.

(3) 地域医療介護総合確保基金(区分6)の活用

医療機関の管理者におかれては,医療機関の医療従事者の労働時間短縮の取組に関し,地域医療介護総合確保基金(区分6)も活用をご検討ください.基金は都道府県が設けているもので,都道府県にもよく確認いただきながら活用を考えていただければと思いますが,タスク・シフト/シェアリング経費(医師事務作業補助者確保経費等),医療機器整備(タブレット問診システム等),勤怠管理システムの導入,コンサルタント経費(勤務環境改善に向けたコンサルタント経費)等で活用されております.ただし,診療報酬の「地域医療体制確保加算」の取得医療機関は補助対象外となります.

(4) 患者さんへの周知

医師の働き方改革を考える上で,患者さんの医療のかかり方も医師の労働時間短縮には大きく影響します.医療へのフリーアクセスは我が国の誇る1つの仕組みではありますが,国民として医療へのかかり方をどのように考えるのか,人材も財源も有限な中でどのような医療のかかり方が望ましいのか,そのような大きな議論も当然向き合わなければならない課題です.

直接的に医師の労働時間短縮につながる患者さん関連の取組としては,患者さんの家族への病状説明の時間設定です.医師の勤務時間外での治療方針等の病状説明については,勤務時間内にそれを行えるよう家族側の時間を調整いただくこと,患者家族が希望する医師による説明が行えない可能性があること,内容によっては医師以外の職種からの説明もあり得ること等を医療機関内に掲示を行い,患者さんに対して医師の時間外・休日労働時間の短縮に協力を促している医療機関もあります.医療機関単独での取組もさることながら,厚生労働省においては引き続き,「上手な医療のかかり方」の周知に力を注ぐとともに,「医師の働き方改革」についても,今後幅広い国民周知を行う予定です.

5. おわりに

医師の時間外・休日労働の上限規制の適用開始に向けて,制度の概要と,医師の労働時間短縮に向けた取り組みと,必要な手続きについて解説いたしました.この医師の働き方改革は,決して簡単なミッションではありません.現在,多くの医療機関で医師の労働時間の把握が進んでいますが,実態が明らかになるにつれ,これまで我が国の医療の歴史の中で築かれてきた医療提供の構造に,多くの医師が目を向けて,医療を未来につなぐために今何をしなければならないのか,思いを巡らせていることでしょう.この医師の働き方改革は,こういった医療提供の在り方の転換点となるような大きな要素を含んでいます.2024年4月に向けては,時間外・休日労働が年1,860時間を超えると想定される「超」長時間労働の医師の労働時間の短縮を優先して各医療機関で対応を検討いただく必要がありますが,その後も,診療に従事するすべての医師が,地域の医療提供体制の維持,自身の技能向上,そして私生活を含んだ医師としての人生について,この医師の時間外・休日労働の上限規制の下で考えていかねばなりません.同時に,この医師の働き方改革は,国,都道府県,医療機関,国民が一体となって,ワンチームで取り組んでいかなければ成功しないものと考えております.

なお,各医療機関において,医師の労働時間管理,労働時間短縮の方策,またさまざまな手続きに関する相談に対しては,各都道府県に所在する医療勤務環境改善支援センター(https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/work-improvement-support-center)が担っていますので,ぜひご利用ください(相談無料).また,様々な医師の働き方改革関連の情報は,いきいき働く医療機関サポートWeb(https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/)にて随時更新されていますので,こちらも参考としてください.

文献
 

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https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
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