日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
選択的血管造影および内圧測定検査により診断しえた正中弓状靭帯症候群に対して腹腔鏡下靭帯切開術を施行した1例
河合 純兵深田 真宏洞口 岳佐藤 悠太安福 至田島 ジェシー雄木山 茂田中 善宏村瀬 勝俊松橋 延壽
著者情報
ジャーナル オープンアクセス HTML

2024 年 57 巻 11 号 p. 543-550

詳細
抄録

正中弓状靱帯症候群(median arcuate ligament syndrome;以下,MALSと略記)は,正中弓状靱帯によって腹腔動脈起始部が圧迫されることにより食後の腹痛や動脈瘤を来す疾患であるが,確立された診断基準はない.近年では消化器の機能異常に起因する疾患の病態が解明されるようになり,機能性ディスペプシアや,過敏性腸症候群の中にも本疾患の正しい診断に至らず,腹部症状に対し長期病悩期間を有する患者が存在していると考えられている.今回,食後の腹痛を訴える患者に対して,さまざまな検査を行うも診断確定に至らずに苦慮したが,選択的血管造影ならびに動脈内圧測定検査所見に基づいてMALSと診断し,治療しえた1例を経験したため報告する.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top