日本消化器外科学会雑誌
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編集後記
編集後記
徳永 正則
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2024 年 57 巻 3 号 p. en3-

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COVID-19が5類感染症に移行されて,はじめての歓送迎会シーズンを迎えました.みなさまいかがお過ごしでしょうか.さて,本年度も多くの学会が現地開催されました.やっと昔に戻ったかと感じる先生が多数を占めるものの,COVID-19禍に後期研修を開始した若手の中には,現地での発表は初めてという先生もいたのではないでしょうか.会場の空気を感じながらのdiscussionでは,Web発表にはない緊張もあったと思いますが,対面だからこそ得られるものもあります.若手の先生方が現地開催の学会で刺激をうけ,学術活動により積極的になることで,日本消化器外科学会雑誌への投稿数が増えることを期待します.

今月の一押し論文は,「診断に難渋したAFP産生早期胃癌肝転移を異時性に治癒切除した1例」です.胃癌診断のゴールデンスタンダードは内視鏡検査+組織診であり,内視鏡検査で異常が見られない場合には胃癌の可能性は否定的です.この症例では,初回手術(肝切除)前に行った上部消化管内視鏡検査では胃病変を認めなかったものの,術後半年での画像検査で胃病変が指摘され,最終的に血行性転移を伴うAFP産生胃癌の診断となりました.内視鏡上認識可能な胃病変が見られる前に遠隔転移巣が顕在化することはまれであり,いろいろな意味で示唆に富む一例と考えられます.

「査読への想い:如何に教育的な査読によりいい論文を作り出すか?」

論文を投稿する先生方は査読に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか? 厳しい,細かい,採択されない,などなどNEGATIVEなワードばかりが浮かんでくる先生も多いのではないでしょうか.日本消化器外科学会雑誌の査読は,「どうやったらより良い論文になるか」を合言葉に,落とすためではなく,論文の質を上げるための査読を行っています.もちろん,報告した症例や論文の内容によっては厳しい指摘が入ることも,採択されないこともあります.その場合でも査読コメントは愛で溢れているはずですので,ぜひともご一読ください.

 

(徳永 正則)

2024年3月1日

 

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