抄録
胆石症に対する外科的治療が一般化している今日, 外科医にとって全く不名誉な「胆のう摘除後症候群」という医学用語が生まれた.術後の愁訴を症候群として取り扱われた例は他に見当らず, 当然原因を明らかにして適切な治療が施行されなければならない.
著者らは本症候群のうち再手術をしなければならない症例の60-70%は術後遣残結石が原因になっていることに着目し, 再手術以外の治療法について研究をすすめ, その一環としてコレステロール系遺残結石に対する仮称GA-100という直接溶解剤を開発した.前報では臨床応用に至るまでの基礎実験を中心に報告したが, 今回は最近までに60例の臨床経験を得ることが出来たので, 溶解効果と副作用の両面から検討を加えた.