1977 年 10 巻 2 号 p. 178-190
食道癌手術の再建に空腸を利用した術式を胸壁前経路19例, 胸骨後経路5例に試みた.空腸を頚部まで挙上するのに問題となる上部空腸間膜血管を5型に分類し臨床的にその難易を調査し, 空腸脚作製前後および空腸脚の頚部まで挙上前後の先端部空腸動静脈酸素含量較差が縫合不全発生に意義あることを認めた.成犬を用い基礎実験として腸間膜血管の牽引および静脈鬱滞がRadioactive Microsphere法による血流量, 血液ガス測定による動静脈酸素含量較差に与える影響を検討した.以上の結果より食道再建に空腸利用の可能性を強調した.