日本消化器外科学会雑誌
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消化器癌におけるCarcinoembryonic antigen (CEA) の臨床的検討
橘川 征夫
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1977 年 10 巻 3 号 p. 279-286

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抄録
大腸癌55例, 胃癌51例などの消化器悪性腫瘍症例113例に対して, radioimmunoassayのone step sandwich (平井法) により血清CEAを測定した.さらにPHAによる末梢リンパ球幼若化能を同時に測定することにより, 担癌症例のより正確なmonitoringが可能である結果を得た.
1) 健常人28名の血清CEA値は2.74±1.06ng/mlであり,「平均値+2×標準偏差」=4.9ng/ml以上を異常値とした.
2) 胃癌curative例を除いて, 胃癌non-curativeおよび大腸癌例の術前CEA値は, 健常人との間にp<0.001において有意差を認めた.また, 大腸癌のDukes分類ではA・B・Cの順に異常高値出現率が大きかった.
3) 腫瘤切除により, 血清CEAは一度減少し, その後curative例ではさらに減少するが, non-curative例では再び上昇する傾向にあった.
4) 大腸癌27例についてCEAと末梢リンパ球幼若化能 (SI) の両者を, 制癌治療中, 経時的に測定した.術後経過良好の例は,「CEAの低下・SIの上昇」という逆相関がみられることより, これを持続させるような制癌治療が望ましいと考える.
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