黄疸軽減術後の脂肪乳剤投与の是非について, 実験動物を用いて検討した. 家兎に閉塞性黄疸を作成した後, これを解除し, 脂肪乳剤を負荷した. 耐糖能曲線がlinear patternを示す肝機能予備力の不十分な時期には, 脂肪乳剤負荷によってEnergy Chargeは低下し, 肝ミトコンドリアの酸化還元状態を反映する動脈血中ケトン体比は低下して, 電子伝達系が抑制されていることを示し, 脂肪乳剤投与は禁忌と考えられた. 一方, parabolic patternを示す肝機能予備力の回復した時期では, ミトコンドリアはやはり還元状態に傾いたが, Energy Chargeの上昇に照らして, これはβ酸化の亢進によるものと考えられ, 脂肪乳剤が良く利用されていることを示した.