1981 年 14 巻 7 号 p. 1029-1038
腹部症状を主訴として来院した外来患者に対し超音波検査をfirst screening検査として検討した結果, 胃癌症例28例中12症例において胃X線内視鏡検査などに先がけて胃癌診断をすることができた.Borrmann分類での描出率はII型20% (1例), III型36% (5例), IV型86% (6例) であり浸潤型の胃癌症例, とくにIV型において高率に超音波診断が可能であった.胃壁に沿って全周性に癌が浸潤している症例においては, いわゆるpseudokidney signを捉えることにより胃壁肥厚像を証明でき, 粘膜側からの情報だけでなく筋層, 漿膜側の情報も得ることが可能であるといえる.以上, これまで超音波診断のアプローチがほとんどなかった胃病変に対しても他の諸検査の弱点を補う検査法として十分期待される.