日本消化器外科学会雑誌
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膵仮性嚢胞40例の治療経験
山口 孝小原 則博山口 実古賀 政隆中村 清剛押渕 徹篠崎 卓雄元島 幸一角田 司吉野 寮三原田 昇土屋 凉一伊藤 俊哉
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1984 年 17 巻 11 号 p. 2037-2043

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抄録
過去20年間に40例の膵仮性嚢胞を経験したが, その成因は慢性膵炎が25例と過半数を占めている. 自然消失例は8例であり, 31症例に外科治療を行った. その内訳は外瘻術4例, 内瘻術14例, 嚢胞切除2例, 膵部分切除14例を主術式として, それぞれの病態に応じて膵管空腸側側吻合術や切除膵自家移植術などの多数の付加手術を行った. 疼痛を始めとするこれらの予後は, 良好24例, 比較的良好7例, 不良3例, 不明1例であった. 予後不良の例は, 慢性膵炎例で嚢胞切除術や内瘻術施行例に高頻度に認めた. したがって慢性膵炎に随伴した仮性嚢胞に対しては, 嚢胞以外の膵の病態を充分に把握して, その病態に応じた外科治療を行うことが重要と考えられる.
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