日本消化器外科学会雑誌
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ラットの結腸間移植回腸におけるDMH発癌
安富 正幸松田 泰次小川 雅昭丸山 次郎坂田 育弘黒岡 一仁桂 康博岩佐 善二
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1985 年 18 巻 8 号 p. 1875-1879

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抄録
SDラットの回腸を結腸間に有茎移植術を行ったのち, 1, 2-dimethylhydrazine (DMH) 10mg/kg×16週を投与し, 大腸発癌の促進因子を解明しようとした.
手術の影響を除外し, 回腸上皮の結腸化の可能性を検討するために, DMH投与開始時期を術後2週と16週に分けた. 術後2週の群, 16週の群ともにそれぞれ9.5%, 6.5%の頻度で結腸間に移植した回腸に発癌した. しかし対照群および移植群でも正常回腸には癌は認められなかった. このことから, 本来回腸にはDMH発癌に抵抗性であるが, 結腸間移植により発癌すること, 術後早期投与群では手術による促進作用, 晩期投与群では回腸粘膜の変化による発癌促進があることが推察された.
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