食道静脈瘤の外科的治療として, 過去30余年間に自験した術式の変遷についてその根拠と成績を中心に報告した.
端側門脈下大静脈吻合術154例の経験は, 術後肝性脳症の防止, 生存率向上のため, 胃上部切除術130例をはじめとする盲目的直達手術への転換を生じ, 一応の成果を上げた.
さらに手術による静脈瘤の消滅を客観的に実証するため術中内視鏡使用で直視下直達手術に進み, 80症例を重ね, その70%で長期安定した成績を確保した.
再発静脈瘤は硬化療法併施で好結果が維持されるべきで, また手術不適応例では改善した塞栓療法と硬化療法併施を妥当とする.