1989 年 22 巻 4 号 p. 1035-1038
昭和48年6月から昭和61年12月までの間に広島大学原医研外科において切除した胃癌症例は1097例である. そのうちの16例 (1.5%) に肝硬変を認めており, これらの症例について, 胃癌手術時における肝機能と手術侵襲について検討した. このような症例においては, 肝硬変非合併症例よりも胃切除術時に出血量が増加しており, 肝機能の面からも出血量に注意すべきである. そのためにはリンパ節郭清をある程度控え目にする必要があり, 同時に大きな手術侵襲を加えるべきではない. 肝機能についてはAlbumin, Cholinesteraseの低下している症例では術後の合併症に注意すべきである. また予後判定や手術に対する予備能に関しては, Childの分類が簡便でよいと考える.