日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
実験食道癌の発生に及ぼすアルカリ性逆流性食道炎の影響
東儀 公哲
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 22 巻 8 号 p. 1977-1986

詳細
抄録
ラットの胃全摘後, 逆流を起こしやすい吻合法としてのBillroth-II法と, 起こしにくいRoux-Y法を作成し, N-amyl-N-methylnitrosamine (以下AMN) 実験食道癌の発生に及ぼす逆流性食道炎の影響を検討した. その結果, 発癌率 (扁平上皮癌) は, AMN開始を胃全摘に先行させる実験ではBillroth-II法92.6%, Roux-Y法31.3%, 対照50.0%であり, 胃全摘をAMN開始に先行させる実験でも, それぞれ93.5%, 35.3%, 35.0%と, Billroth-II法に有意に高率であった. 部位別では, 癌は食道炎の高率な下部食道に多く, 食道炎のない上部に少なかった. 食道には乳頭腫も発生したがこれと食道炎, 癌腫は負の相関にあった. 以上より, 実験食道癌の発生にアルカリ性逆流性食道炎はpromoterとして作用したものと考えられた.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top