胃平滑筋肉腫51切除例の治療成績の検討から, 本疾患の治療方針について検討した. 大きさは1.5~23cmで5cm未満例が35例, 69%を占めた. 術式は胃切除21例, 局所切除29例, 核出術1例であった. 手術時に, 肝2例, 腹膜播種1例, リンパ節1例の転移を認め, 再発は局所1例, 肝3例, 播種2例で, リンパ節再発はない. 累積5年生存率は, 胃切除群90.5%, 局所切除群96.6%であった. 核出術の1例は局所および播種再発した.4例が腫瘍死したがすべて5cm以上の例であった. 本腫瘍の予後は腫瘍自体の悪性度により決まり, 術式の影響は少ない. したがって特に小さい腫瘍においては, 局所切除の良好な遠隔成績, リンパ節転移率が低いこと, 胃上部に多いことなどを考えると, 患者のquality of lifeという面からも局所切除が第1選択術式と思われる.