日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
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レーザードップラー血流計を用いた術中門脈系臓器組織血行動態の検討
新井 善雄小山 研二浅沼 義博面川 進鹿嶋 秋五高橋 貞二白山 公幸吉田 節朗武正 寿明古屋 智規佐藤 勤
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1990 年 23 巻 1 号 p. 65-69

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抄録

手術侵襲の腹腔内臓器への影響をみるため, 開腹術を施行した胃癌, 胆道疾患, その他の疾患30例について, レーザードップラー血流計による術中の肝, 胃, 小腸組織血流量の変化を検索し, 術後肝機能異常との関係についても検討した. その結果, 肝組織血流量 (左葉) は, 胃亜全摘群 (n=6), 胃全摘群 (n=5), 胆道良性群 (n=9), 胆道悪性群 (n=5), その他の群 (n=5) で, それぞれ, 手術中に79.0%, 69.0%, 114.3%, 56.7%, 97.8%となり, 胃全摘群, 胆道悪性群で減少が著しかった.一方, 小腸組織血流量は, 各群でそれぞれ, 97.8%, 125.1%, 94.1%, 101.7%, 109.5%と維持されており, 門脈血流量が維持され, 肝動脈血流量が減少する間接的な所見と考えられた. トランスアミナーゼ値の変化では, 胆道悪性群, 一部の胆道良性群に高値を示し, 肝への圧迫操作が肝機能に悪影響を与えると考えられた.

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