日本消化器外科学会雑誌
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食道癌における腫瘍マーカーとしての尿中ポリアミンの有用性に関する検討
力武 浩山名 秀明藤田 博正白水 玄山南 泰三掛川 暉夫
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1990 年 23 巻 12 号 p. 2709-2715

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抄録

胸部食道扁平上皮癌55例を対象とし, 酵素法にて尿中ポリアミンの測定を行い, その有用性について検討した.さらに, 増殖期細胞の核抗原に対するモノ, クローナル抗体Ki-67の陽性細胞率とともに癌細胞核DNA量の測定を行い, 増殖能および悪性度と尿中ポリアミンとの関係についても検討を加えた.尿中ポリアミンの陽性率は, 38.3%とcarcinoembryonic antigen (CEA), squamous cell carcinomarelated antigen (SCC) と比較し若干高値でありCEA, SCCとのcombination assayにより診断率は54.5%と向上し, 特に再発時には83.3%と高値を示した.尿中ポリアミンは, 組織学的深達度の増大とともに平均値および陽性率が増加したがKi-67陽性細胞率との間には特に相関を認めなかった.また, DNAploidyではaneuploid症例がdiploidより尿中ポリアミンは術後のfollow upにおいて有用なモニタリングマーカーとなることが示唆された.

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