1990 年 23 巻 12 号 p. 2787-2792
マウス腹水肝癌 (MH134) をC3Hマウス左後肢足背に移植して, 左膝窩リンパ節および腰部リンパ節の転移モデルを作製し, マイトマイシンC吸着活性炭 (MMC-CH40) のリンパ節内直接注入によるリンパ節転移の化学療法について検討した.移植後9日目に左膝窩リンパ節よりMMC-CH40を0.05ml (MMC量: 25μg/mouse) 注入し, MMC-CH群とした.注入1時間後のMMCHCH群の腰部リンパ節内MMC濃度は, 0.26μg/gとなり, MMC水溶液リンパ節内注入群, MMC水溶液腹腔内注入群に比べ著明に高濃度であった.MMC-CH40注入後4日目に摘出した腰部リンパ節の平均重量は, 対照群に比べて有意に低値を示し, 組織学的転移面積も, 対照群に比べ有意に小さかった.以上よりマイトマイシンC吸着活性炭のリンパ節内直接注入法は, リンパ節転移の治療法として有用であると思われた.