日本消化器外科学会雑誌
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肝転移合併胃癌に対する手術治療成績について
種村 廣巳佐治 重豊田中 千凱伊藤 隆夫大下 裕夫深田 代造古田 智彦東 修次宮 喜一国枝 克行鷹尾 博司杉山 保幸吉田 明彦下川 邦泰
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1990 年 23 巻 5 号 p. 1036-1043

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抄録
過去12年間に経験した胃癌手術総数1,651例のうち同時性肝転移を有する127例につき肝合併切除の意義, 原発巣切除の適応限界, 術後補助化学療法の効果を検討した.その結果,(1) 肝合併切除13例はすべてH1で, 生存率 (1生76.9%, 2生53.8%, 3生28.9%) は, ほぼ同等の背景因子を有するH1胃切単独例に比べ有意 (p<0.05) に良好であった.また13例中3例は3年以上の長期生存例で, 最長生存例は4年7か月現在生存中である.(2) 肝転移例に対する原発単切除 (減量手術) の効果はH1P3あるいはH2-3P2以上の症例では期待困難と思われた.(3) 肝転移に対する全身化学療法あるいは動注化学療法は, 減量手術施行症例では有効であったが, 非切除例では有効でなかった.また全身化学療法施行例と動注化学療法施行例との間に生存率に差はみられなかった.
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