日本消化器外科学会雑誌
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超音波検査で発見された胃壁外型有茎性胃平滑筋肉腫の1例
上田 雅和小島 洋彦浅野 浩史和田 喜美夫篠原 有美
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1990 年 23 巻 8 号 p. 2109-2113

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抄録

腰痛で入院した76歳の女性に, 症状はないが腹部超音波検査を行ったところ, 偶然上腹部腫瘤が見つけられた.超音波では他臓器と区別されたが原発は不明で, computed tomography (CT) スキャンでも同様であった.血管造影では胃体上部に腫瘍を認め, 胃透視や胃カメラで胃粘膜に病変がないことから, 頻度的に胃筋原性腫瘍を疑った.開腹すると, 胃体上部後壁から壁外に発育した有茎性の筋原性腫瘍で, 大きさ38×28×55mm, 重さ35g, 割面は白色充実性で数か所に大小不同の壊死巣があった.肝転移や腹膜播種はなく, 局所切除術と試験的リンパ節摘出を行った.術後の病理組織で胃平滑筋肉腫と診断されたが, 摘出リンパ節に転移はなかった.有茎性に胃外発育した胃平滑筋肉腫はきわめてまれで, かつ無症状で診断された報告はない.超音波検査は無侵襲で, 容易に多くの情報が得られることから, 有病率の高い高齢者には, 症状がなくても早期発見のために実施しても良い検査と思われた.

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