日本消化器外科学会雑誌
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大腸癌肝転移例に対する抗癌剤加リピオドール肝動注後のcarcinoembryonic antigen変動の特異性
小森 義之島津 元秀長谷川 潔藤田 順子木村 彰良江崎 哲史鈴木 治郎黒水 丈次菅谷 宏蓮見 昭武丸田 守人青木 春夫
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1991 年 24 巻 2 号 p. 209-216

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抄録
大腸癌肝転移23例のcarcinoembryonic antigen (以下CEA) および肝細胞癌8例のalfa-fetoprotein (以下AFP) 値を抗癌剤加リピオドールの肝動注前後に経日的に測定しその変動パターンを比較すると, 肝細胞癌例のAFPは肝動注後漸減あるいは漸増の変動パターンを示したのに対し, 大腸癌肝転移例のCEAは1~3病日に一過性の上昇を認めその後急速に下降した.この変動と肝動注後肝切除を施行した17例の切除肝の病理組織学的な腫瘍壊死率との相関を検討すると, 肝動注後CEAの上昇率が高い症例では, 高い腫瘍壊死率を示し, これらの症例は上昇後の下降も著しく, 肝切除後のCEAの下降パターンに類似していた.従って, 大腸癌肝転移に対する肝動注の効果判定には, 1~3病日のCEAの上昇率および上昇後の下降が有用な指標になると考えられた.
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