日本消化器外科学会雑誌
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若年者大腸癌の臨床病理学的検討
奥本 聡堀田 芳樹加藤 道男出口 浩之橋本 芳正黒田 勝哉坂根 正芳山口 俊昌斉藤 洋一
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1991 年 24 巻 3 号 p. 831-839

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抄録
若年者を30歳未満と定義して, 当教室で経験した若年者大腸癌症例の臨床病理学的特徴を非若年者と比較するとともに, 若年者の術後成績が不良であるか否かを検討した.若年者は12例で全大腸癌症例534例の2.2%を占めた.臨床的項目のうち, 直腸癌で腹痛を主訴とした症例が3例 (42.9%) で非若年者と比較し高い頻度であった.組織型では高分化腺癌が2例と, 有意に少なく若年者ではより未分化な症例が多かった.組織学的深達度では他臓器浸潤を認めた症例が5例 (55.6%) と有意に多かった.腹膜播種を認めた症例は3例 (27, 3%) で, 進行度でもstageVが4例 (44.4%) と多い傾向にあり, 若年者では手術時進行した症例が多く, これが切除率が低くて切除後の遠隔成績も不良であることの要因と考えられた.しかし治癒切除後の遠隔成績は良好であり, 若年者といえども大腸癌の存在を考慮して早期診断のための積極的な精査が必要と考えられた.
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