抄録
症例は21歳男性.慢性反復性の下血を主訴に来院し, 上腸間膜動脈造影検査にて回結腸動脈末端部のarteriovenous malformationと診断した.下血による高度の貧血が保存的に改善しないため, 回盲部切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検索では, 粘膜固有層と粘膜下組織に壁の薄い小血管の拡張, 蛇行が著明で, 破綻血管も認められ, 盲腸を中心とする回盲部のangiodysplasiaと診断した.本症は, 高齢者の右側結腸に好発し, 血管造影あるいは内視鏡による診断が有用とされている.本邦では若年発症例は非常にまれであり, 文献的考察を加え報告した.