日本消化器外科学会雑誌
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大腸癌原発巣のラミニン染色と肝転移に関する研究
松田 泰次赤埴 吉高足立 俊之肥田 仁一森 亘平安富 正幸
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1991 年 24 巻 4 号 p. 1137-1142

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抄録
大腸癌原発巣192例と肝転移巣17例について, ラミニン (LN) の免疫組織学的研究を行いLNの局在性と癌の浸潤・転移との関係について検討した.大腸癌原発巣での腺管基底膜のLNの局在は, 症例によっても, 同一切片内でも均一ではなかった.そこで病巣を3層に分類し, 3層のうち2層以上がLN染色 (+) のものをLN陽性症例と判定基準を決定した.肝転移例原発巣ではLN陽性率は83.1% (59/71) と非肝転移例19, 0% (23/121) に比べ有意に高率であり, しかも先進部で強いLN染色性を示すのが特徴であった.肝転移巣では, LNは94.1%と高率にしかも均一にみとめられた.肝転移巣がLN陽性で原発巣が陰性の症例では原発巣のLN (+) の部分の組織型が肝転移巣と類似していた.以上よりLN陽性のものほど肝転移をおこしやすく, LNは癌に付随する物質であって, 壁内進展のバリアーと考えがたい.
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