日本消化器外科学会雑誌
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所属リンパ節にサルコイド反応を呈した早期胃癌の1例
田辺 博今井 直基渡辺 進加納 宣康下川 邦泰池田 庸子
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1991 年 24 巻 5 号 p. 1272-1276

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抄録

早期胃癌の所属リンパ節にサルコイド反応を認めた1例を経験した.
症例は53歳, 男性, 検診にて胃透視の異常陰影を指摘され来院した.胃内視鏡で前庭部大弯側に浅い陥凹性病変を認め, 生検にて胃癌と診断された.腹部computed tomography所見で総肝動脈周囲のリンパ節腫脹があり, リンパ節転移が疑われた.
手術所見では所属リンパ節に腫脹が認められ, R2郭清を伴う胃亜全摘がなされた.病理学的所見にて胃病変は低分化型腺癌であり深達度mであった.また郭清されたリンパ節は18個であったが, そのうち10個に多核巨細胞を伴い類上皮細胞からなるサルコイド結節を認めた.
所属リンパ節にサルコイド反応を認める早期胃癌の報告は本症例で8例目と考えられ, その臨床的意義について検討した.

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