日本消化器外科学会雑誌
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肝外発育型肝細胞癌13例の検討
閑 啓太郎鴻巣 寛池 正敏城野 晃一堀井 淳史下出 賀運久保 速三糸井 啓純小林 雅夫園山 輝久内藤 和世山岸 久一岡 隆宏弘中 武塚本 賢治
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1991 年 24 巻 7 号 p. 2032-2036

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抄録
過去10年間の自験肝細胞癌切除症例129例のうち, 独自の定義に基づき肝外発育型肝細胞癌とした13例を対象としてその患者背景, 臨床病理学的特徴, 外科治療と予後について検討した.その結果,(1) HBs抗原陽性率が高いこと (5/12, 41.7%),(2) 腫瘍径が大きいこと (平均腫瘍最大径7.2cm),(3) 肝外発育といえども腫瘍の肝内への進展を示す門脈侵襲 (Vp) や肝内転移 (IM) を伴った症例が多いこと (9/13, 69.2%),(4) 腫瘍を含めた系統的切除を施行した症例9例中4例に無再発生存例を認めたこと,(5) 腫瘍茎を切除するだけの部分切除を施行した症例はすべて残肝再発をきたしたこと, の特徴が得られた.
肝外発育型肝細胞癌は腫瘍の局在性により, 巨大であっても肝切除範囲が少なくてすみ, 肝機能障害が比較的高度なものでも切除可能な症例が多く切除率は良好とされているが, 本検討結果を見るかぎりその予後向上のためには腫瘍を含めた系統的切除を可能なかぎり選択することが必要であると考えられた.
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