日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
経十二指腸的膵管内カテーテルにより治癒せしめた外傷性主膵管損傷の1例
秋山 裕人新実 紀二横井 俊平津金 恭司岩田 博英鳥居 良彦鈴木 正康
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 24 巻 9 号 p. 2447-2451

詳細
抄録

ハンドル外傷による主膵管断裂を伴った膵頭部断裂を経験した.主膵管は修復不能であったが, 経十二指腸的膵管内カテーテル挿入術が有効であったので報告する.症例は57歳男性.飲酒運転で衝突し腹部を打撲.受傷後16時間後に呼吸困難, 心窩部痛, 嘔吐のため救急車で来院した.諸検査より膵頭部損傷, 腹腔内出血, 外傷性膵炎と診断され緊急開腹術を行った.膵頭部前壁に上腸間膜静脈の露出を見る4cmの断裂があり, 主膵管は後壁がわずか燵続して6mmにわたって欠損していた.膵散損部を橋渡しさせカテーテルを挿入固定後に膵実質断裂部を縫合し, カテーテルの他端を経十二指腸的に体外に誘導留置した.術後の膵液瘻は難治であったが, 治癒後の内視鏡的逆行性膵管造影で膵管の開存は十分に保たれた, 本術式は膵の正常解剖と生理機能を温存でき, 膵挫滅が軽度で主膵管の縫合再建困難な膵頭部損傷に有効であると考えた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top